現在、再生医学の研究は細胞レベルから組織レベルへと発展してきている。多くの体細胞のマスター遺伝子が解明され、多能性幹細胞からの分化誘導が可能となっている。我々は機能的甲状腺細胞への分化誘導をES細胞とiPS細胞を用いて行った。まずES細胞を胚様体へと分化誘導し、4日目にNKX2.1およびPAX8を、7日目以降にTSHを添加し続け甲状腺ホルモン分泌細胞へ分化誘導した。しかし、iPS細胞ではホルモン分泌細胞への分化を認めなかった。EBの分化様態が不均一であった可能性が考えられる。一方、神経幹細胞への分化誘導は効率的に行えることが判明した。現在、甲状腺ホルモン分泌細胞と神経幹細胞の研究を行っている。
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