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2014 年度 実施状況報告書

ANSDに対する遺伝子解析とその臨床像に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 26861364
研究機関信州大学

研究代表者

岩佐 陽一郎  信州大学, 医学部附属病院, 医員 (10613002)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード難聴 / 遺伝子
研究実績の概要

平成26年度は日本人難聴患者の中でAuditory neuropathy spectrum disorder(ANSD)患者を抽出し、これまでANSDの原因と報告があるOTOF,PJVK,GJB2遺伝子変異の頻度やその種類を明らかにすることを目的に、当施設および共同研究施設よりANSDの臨床像を示す患者に直接シークエンス法にてOTOF,PJVK,GJB2遺伝子の変異解析を行った。
末梢血より抽出されたDNAを用い、OTOF,PJVK,GJB2遺伝子のスプライシング部位を含む全エクソン領域を直接シークエンス法により解析した。病的変異の判断は、変異の種類、家系内での整合性、コントロール群における頻度などを検討して行った。
今回変異検索を行った11人中8名(72.7%)に少なくとも一つのOTOF遺伝子変異を認めた。変異の内訳としては3名がホモ接合体、3名がコンパウンドへテロ接合体、2名がヘテロ接合体であった。PJVK,GJB2遺伝子変異は認めなかった。よって、今回変異検索を行った11人中6名(54.5%)がOTOF遺伝子変異による難聴の確定診断となり、ヘテロ接合体の2名(18.2%)もOTOF遺伝子変異による難聴の可能性があると考えられる。よって、日本人ANSD患者における原因遺伝子の内訳はOTOF遺伝子(54.5~72.7%)、PJVK遺伝子(0%)、GJB2遺伝子(0%)であることが明らかとなった。
また、OTOF遺伝子のp.R1939Q変異はfounder effectにより日本人において高頻度で同定される変異であることが知られており、今回OTOF遺伝子変異が同定された8名のうち7名(87.5%)がp.R1939Q変異を有していた。ANSD患者においてはp.R1939Q変異のスクリーニングを行うことにより、診断率の向上が見込めると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、重度難聴患者の遺伝子スクリーニングを実施し、各遺伝子変異の臨床的特徴を明らかにした。

今後の研究の推進方策

平成27年度は、Auditory neuropathy spectrum disorder(ANSD)患者の中で遺伝子変異が同定された症例に関して人工内耳の効果について詳細に検討する。従来の報告では、人工内耳の効果が良好とされているOTOF遺伝子変異であるが、自験例では必ずしも言語発達が良好ではない症例も存在する。詳細な検討を行うと語音聴取能が必ずしも良好ではない可能性があり、複数の症例において検討を行う。
人工内耳の効果については装用閾値や、幼小児人工内耳の標準的評価方法であるIT-MAIS、LittlEARs、発達検査や知能検査(遠城寺式乳幼児分析的発達検査法、新版K式発達検査、WISC-Ⅲ知能検査など)、リハビリテーションの実施状況や通学・通園状況の確認など、多方面においてANSD患者の臨床像の把握を行う。得られた臨床像から、ANSD患者における人工内耳後の問題点があればそれに対する介入方法の検討を行う。
また、27年度も引き続き当施設および共同研究施設より種集されたANSDの臨床像を示す患者に対する変異解析も行う。本年度にANSD患者の原因の大半(54.5~72.7%)を占めることが明らかとなったOTOF遺伝子の中でもfounder effectにより高頻度(87.5%)に認めるp.R1939Q変異に関してはtaqmann法を用いて優先的に解析を行い、スクリーニングについての検討を行う。ヘテロ例に関してはOTOF遺伝子のスプライシング部位を含む全エクソン領域を直接シークエンス法により解析し、確定診断率の向上を目指す。

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公開日: 2016-06-01  

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