研究課題
平成29年度は、前年度までに引き続き人工内耳手術症例を対象にIonAmpliSeqを用いたマルチプレックスPCR法により既知難聴原因遺伝子63遺伝子の次世代シークエンサーを用いたパネル解析を行い、難聴原因遺伝子変異の検索を行った。また、難聴の原因遺伝子変異の同定された症例に関しては、人工内耳装用後の聴取成績の評価に関する臨床情報の収集を行い、原因遺伝子毎の装用効果に関して情報の収集および検討を行った。特に今年度は、小児人工内耳症例における術前後の人工内耳装用効果に関して検討した。小児人工内耳症例は言語取得期以前に難聴を発症した症例であるため、人工内耳を通して聴取した情報を元に言語取得を行う。したがって、成人人工内耳装用患者と比較して術後早期に評価できる検査が少ない。本年度は、人工内耳手術を行った症例について遺伝子解析を行うと共に術後早期の聴性行動の発達に関して詳細に検討した。具体的には人工内耳手術を行った100例に対して次世代シークエンサーを用いた既知難聴原因遺伝子の網羅的スクリーニングを行った。その結果、GJB2、SLC26A4、CDH23遺伝子変異が多く認められた。また、これら難聴の原因が特定された症例では術後早期の聴性行動(IT-MAISもしくはLittlEARs)の得点の伸びが良好であるのに対し、原因遺伝子変異が同定できなかった群では術後早期の聴性行動の発達が緩徐であることがあきらかになった。現在、得られた研究成果を取りまとめ論文として公表する準備を進めているところである。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 5件)
PLoS One.
巻: 13 ページ: e0193359
doi: 10.1371/journal.pone.0193359.
Acta Otolaryngol
巻: 137 ページ: 516-521
doi: 10.1080/00016489.2016.
巻: 12 ページ: e0177636
doi: 10.1371/journal.pone.0177636.