研究実績の概要 |
平26年度は、日本人高齢者(健常ボランティア)サンプル700例の遺伝子サンプルおよび聴力データを基に、先行研究で老人性難聴との関連が報告されている遺伝子のSNPsについて日本人サンプルを用いて検討し、同一遺伝子(KCNQ4, NAT2, GRHL2, GRM7, IQGAP2)の関与について検討を行った。コントロールとしてはJSNPに登録されている日本人コントロールの遺伝子型を用いた。 その結果、先行研究(コーカソイド)で老人性難聴に関連があると報告されたSNPsのいずれにおいても、日本人高齢者では有意な関連は認められないことを明らかにした。この原因としては、これら遺伝子領域のハプロタイプがコーカソイドと日本人の間で大きく異なるため、有意であると考えられたSNPsに関して日本人における頻度が低く統計学的な検出力が低下したものであることが考えられた。 そこで、先行研究において老人性難聴との関与が示唆されているKCNQ4, NAT2, GRHL2, GRM7, IQGAP2の各遺伝子に関して、HapMap Japanに登録されているデータを基に連鎖不平衡ブロックの解析を行い、Tag SNPsを再度選び直して老人性難聴群とコントロールとの間で有意差を認めるか検討を行った。 また、既知の難聴原因遺伝子として報告されているGJB2、SLC26A4、COCHなどの遺伝子に関して同様にHapMap Japanに登録されているデータを基に連鎖不平衡ブロックの解析を行い、Tag SNPsを再度選び直して老人性難聴群とコントロールとの間で有意差を認めるか検討を行った。その結果、遺伝性難聴の原因遺伝子として報告のあるCOCH遺伝子に関して有意差を認める結果となった。
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