研究課題/領域番号 |
26861370
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
玉利 健悟 三重大学, 教養教育機構, 特任講師(教育担当) (90585176)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 嗅細胞 / 免疫組織化学染色 / EP2受容体 |
研究実績の概要 |
昨年度は、三重大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学協力の元、手術患者からの嗅粘膜の提供とその安全性について検討、免疫組織化学染色法を用いてヒト嗅細胞の形態学的同定を行い、パッチクランプ法にて電気生理実験を施行した。これらのヒト嗅細胞の基礎的データを解析し、他種、特に多くの実験結果が得られているイモリ嗅細胞の実験データと比較したところ、形態的特徴と電気生理学的機能の一部に関して類似性が認められたため、以上の基礎的データを論文にすべく、27年度から投稿論文を執筆している。また、同時に2016年に行われる国際学会ISOTにて本研究に関する基礎データの研究報告を予定しており、演題登録を行った。また、さらに実験を進ませるため、嗅細胞のEP2受容体の発現を調べた。まずはマウスを用いて予備実験を行った。マウスをホルマリン還流固定し、頭部を脱灰後、スクロース溶液に漬け、-20度にて凍結、クリオスタットにて水平断で切片標本にした。組織標本はEP2受容体抗体を用いて免疫組織化学染色を行った。その結果、嗅細胞層にEP2受容体の発現が認められ、哺乳動物の嗅細胞に対し、炎症物質が何らかの影響があることが示唆された。現在、その機能を明らかにするため、嗅細胞のEP2受容体と結合するプロスタグランジンを用意し、それを単離された嗅細胞に一時的に暴露させ、その際の匂いの応答と、電位依存性電流、特に内向き電流と外向き電流に対する影響を明らかにする準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画ではEP2受容体の発現の有無と同時に、電気生理実験にて炎症物質プロスタグランジンの暴露を行い、その応答性を明らかにすることとしていたが、後者はまだ準備段階である。28年度では早々に施行する。この遅れは、26年度から27年度に、所属の変更と新業務によりエフォートを割くことが難しかったこと、また、実験室の使用に関して、所属変更による使用手続きに時間がかかってしまい、実験時間の確保ができなかったためだ。
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今後の研究の推進方策 |
所属の変更による新業務にも1年を通して慣れ、実験室の使用に関しても手続きが完了したため、次年度では実験時間の確保が可能となった。本年度までの遅れを取り戻すべく、早々に電気生理学実験の施行し、そのデータを解析、効果を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属変更に伴い、予定していた研究実施が行えなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
学会発表のための出張旅費等に充てるつもりである。
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