H26年度は、正常マウス内耳におけるTLR3遺伝子の発現をRT-PCR、in situ hybridization 法を用いて確認した。蝸牛ではコルチ器、血管条、らせん神経節への発現を認め。一方、前庭領域では前庭神経節に発現を認めた。また、TLR3のアゴニストであるpolyIC投与後の正確な前庭機能評価を目的に回転加速度、直線加速度装置の開発を進めた。 H27年度の実験成果を示す。1、polyIC投与内耳障害モデルの確立:まずはpolyICを腹腔内投与し、行動評価、側頭骨病理を評価したが、明らかな異常所見を見つけることはできなかった。次に鼓室内に投与して評価したところ、内耳全体で強い炎症反応を示す病理所見が得られた。この反応は内耳に存在するTLR3受容体を介して引き起こされている可能性が考えられた。2、H26年度に引き続いて正確なマウス前庭機能評価を目的に回転加速度、直線加速度装置の開発を進めた。回転加速度装置は解析システムも含め完成し、マウスの正確な半規管機能の評価が可能となった。直線加速度装置の機器作製は終了した。今後、耳石器機能評価のための条件設定を行っていく段階にある。今後、polyIC投与内耳障害モデル、作製した各種前庭機能評価装置を用いてTLR3の内耳での機能の解明をすすめていく。
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