研究課題
頭頸部扁平上皮癌の細胞株の増殖にグルコースが必要かについて検討を行った。4種類癌細胞株において培養後72時間後にグルコースを含まない培養液にて増殖能は著明に減少した。これらの細胞株においてグルコースが必須のものであると示された。続いて、頭頸部扁平上皮癌の細胞株において嫌気性代謝に関わるタンパク質で重要とされるものとしてGLUT1、LDHA、MCT4の発現をWestern blotting、免疫染色にて確認した。3種類の細胞株において、これらのタンパク質の強い発現が確認された。次に低酸素状況下における細胞株、低酸素においての細胞増殖を検証したが、低酸素状況下で72時間後では増殖能が亢進していた。低酸素状況下での嫌気性代謝に関わるタンパク質の発現を確認したが、これらのタンパク質の発現は増強した。すなわち低酸素下では嫌気性代謝は亢進し、細胞増殖も亢進していると考えられる。酸素がない状況ではTCAサイクルを利用できないので、この結果は妥当であると解釈できる。Phloretin(グルコース取り込み阻害薬)の投与を細胞株にPhloretinを投与し、グルコースの取り込みのアッセイを行った。この結果Phloretin500uM、5分投与でグルコースの取り込みは約半減することが分かった。Phloretin投与下での増殖アッセイを行った。この結果PhloretinのIC50は200uM-400uMであった。in vivoの実験に移行し、NOD/SCIDマウスに頭頸部扁平上皮癌の細胞株を移植し増殖させた。この移植した癌組織内の低酸素の状態を確認することを次なる目標とした。マウスの美静脈よりpimonidazoleを静注し、その後、癌組織の免疫染色を行った。その結果癌組織内ははheteroに染色され、組織内は低酸素の部位とそうではない部位が混在していることが示唆された。
3: やや遅れている
in vivoの実験に時間を要している。腫瘍を生着させたマウスを十分に育てるのに時間を要した。腫瘍が生着したマウスにpimonidazoleを投与して、摘出標本を薄切し、免疫染色行った。その結果腫瘍内には免疫染色にて染まる部位と染まらない部位を認めた。腫瘍内には低酸素の状態の部分とそうではない部位が混在していることを示唆する。すなわち、今回の研究目的である、グルコースの取り込み抑制と放射線治療の相乗効果を期待することができると判断できる。研究が進んでいる部分と予定通り進んでいない部分がある。
腫瘍を生着させたNOD/SCODマウスにPhloretinを投与し、さらに放射線の外照射を行う。放射線照射を行った群と放射線照射にPhloretin投与を追加で行った群を比較し、Phloretin併用群での上乗せ効果を統計解析にて求める。
in vivoの研究に時間を要してしまい、十分に進まなかった部分があり、その分研究費が残った。
来年度はマウスの購入、実験試薬の購入、また動物実験施設の利用料等に使用予定である。
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