研究課題/領域番号 |
26861377
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所) |
研究代表者 |
安井 俊道 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), その他部局等, その他 (90646150)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ヒトパピローマウイルス / 頭頸部癌 / 転移リンパ節 / 頸部嚢胞 |
研究実績の概要 |
海外ではヒトパピローマウイルス(HPV)関連頭頸部癌は飲酒喫煙を原因とする頭頸部扁平上皮癌とは性質が異なり、HPV関連頭頸部癌は治癒率もよいと言われている。現状では治療前にHPV陽性を判定できず術後の検討で判定がなされている。特に嚢胞性リンパ節の穿刺吸引細胞診(FNA)で悪性所見がないことを基に良性疾患として手術し、術後組織学的評価で原発不明癌と判定されることがしばしばある。従って、治療前にリンパ節のHPV陽性を判定できれば、原発不明癌や嚢胞性リンパ節病変の治療法を決定することが出来る。今回の研究は頭頸部癌の嚢胞性疾患および頸部リンパ節転移とHPV感染を検討することが目的である。。 実際の研究方法としては、頭頸部の嚢胞性疾患において、穿刺吸引細胞診検体を行い、HPVが検出されるかどうかを検討する。良性の嚢胞性疾患からHPVが検出されないことの確認を行うことと、HPV陽性と判断された嚢胞性疾患が癌の所見を示すことを確認する。 頸部の転移性の嚢胞性リンパ節が良性の嚢胞性疾患として加療されることがしばしばあるが、嚢胞からの穿刺液の細胞診を検討することで、HPV陽性が判定できれば、その嚢胞は悪性疾患を強く疑うことができる。HPV陽性の頭頸部癌はほとんどが中咽頭原発(特に扁桃と舌根)であることより、HPV陽性と判定された場合は中咽頭癌からの転移リンパ節であると強く示唆される。そのために、穿刺吸引細胞診では悪性所見を認めなくても、穿刺液がHPV陽性であれば、中咽頭癌を念頭に置き原発巣を検索することで、多くの症例で中咽頭癌の診断がつくことが予想される。開放生検や摘出術の施行後に癌と判明するのではなく、嚢胞の穿刺吸引細胞診検体で判定できれば、非侵襲的に外来診察の段階で原発巣を診断する可能性が上昇するため、診断率および治癒率が向上することが予想され、その意義は非常に大きいと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、頸部の嚢胞性疾患は年間に30例程度の症例を見込んでいたが、平成26年度は頸部嚢胞性疾患が少なく、患者の承諾をえることができ、検査し得た症例は9例であった。当院が頭頸部癌を主に扱うことが周知されたため、良性疾患の紹介が減少していることが一因であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初より、平成27年度も平成26年度と同じ内容の研究内容・研究計画であり、引き続き症例を集めて、検討を継続する。 研究内容の変更は特にない。課題としては、良性の頸部嚢胞の症例数が少ないことがあるため、頸部嚢胞の疾患が増加するように、周辺の関連病院等にも周知し協力を依頼する。
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次年度使用額が生じた理由 |
機器の購入を予定して、業者に年度内に搬入してもらうように調整していたが、急遽、機器の搬入が遅れることとなってしまい、予算が年度をまたぐことになってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の通り、機器の購入が直近で予定されている。
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