研究課題/領域番号 |
26861379
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
四宮 弘隆 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (00725385)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / 中咽頭癌 / ADH / ALDH / アルコール |
研究実績の概要 |
近年、咽頭癌の発癌誘因としてHPV(ヒト乳頭腫ウィルス)に注目が集まり、中咽頭癌においては重要な予後因子として認識されるようになってきた。 一方、モンゴロイド系ではADH(アルコール脱水素酵素)およびALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)の遺伝子多型が咽頭癌の発症リスクに関連することが知られているが、これまで予後や治療効果との関連は議論されてこなかった。これらの酵素の遺伝子多型のない欧米では議論の対象とならないが、多型の多いアジアにおいてはHPVとともに重要な予後因子となる可能性がある。 本研究は、中咽頭癌におけるADHならびにALDHの遺伝子多型の意義を解明し、病因をターゲットとした個別化治療の開発につなげていくことを目的として計画した。 当院で初回治療を行った中咽頭癌症例を抽出し、その中で病理組織標本が入手可能で、検体の使用同意が取得できている症例82例を対象として研究を開始している。 アルコール代謝に関わるADH1B、ALDH2のSNPを検索し、PCRを用いて遺伝子変異部を増幅し、電気泳動により判別する検査系を血液サンプルから抽出したDNAを用いて確立した。次に組織サンプルから抽出したDNAで同様の手技を行い、判別可能であることを確認した。検査効率を上げる目的、また結果の信頼性確保のために、Taqman probe assayを併用して行い、検索している。現在遺伝子変異の検索が終了し、臨床情報とマッチして統計学的な検討を行っている。その結果によって、新規の中咽頭癌患者に対する前向きの検討を開始していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度に予定していた、中咽頭癌の組織標本からDNAを抽出し、ADH,ALDHの遺伝子多型を評価する研究が完了している。現在データ解析を行っており、その結果をうけて前向き部分を開始できると考えており、研究予定の通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
現在データの解析を行っている。今後その結果をうけて前向き検討の部分の症例集積を開始していく予定である。
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