リーリンの下流シグナルであるDab1遺伝子異常マウス(Yotariマウス)を用いて、進行性難聴についての解析を行った。聴性脳幹反射(ABR)による聴力評価では、YotariマウスはWiidタイプと比較して、生後8-10週という早期に難聴が進行することが判明した。 蝸牛切片における形態学的な評価では、Yotariマウス、Wildタイプともコルチ器、有毛細胞の形態やらせん神経節の細胞数には大きな違いを認めなかった。また脳幹切片を抗コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)抗体により免疫染色を行ったところ、内側オリーブ核(MOC)ニューロンが上オリーブ核内側核近傍のMVPO (Medioventral Periolivary Nucleus)には認めず、より背側に散在して存在していることが判明した。これにより、内側オリーブ核ニューロンの腹側への遊走が、Dab1の欠損により障害されていることが示唆された。
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