経口切除症例としては喉頭癌21例、下咽頭癌18例を経験でき前年度より年間症例数は増えてきており、単一施設としてはハイボリュームであると思われる。研究計画の3年間での100例程度の症例数は確保できそうな状況である。また研究者が全症例を手術しており、術者間のバラツキもなく組織を集積できている。 ただ切除組織は術前に浸潤癌と判明していない例もあるものの、浸潤癌と判明するまでに複数回外来で組織生検検査をするのは現実的ではないため、浸潤癌疑いでも経口切除を施行する必要がある症例があり、その際確実な病理結果を得るために十分な組織量が必要である。また経口切除の適応となる症例は比較的小さな病変が多くなるため、ホルマリン固定をしていない組織検体をメタボローム解析用に採取することが困難な事が多く、当初のメタボローム解析に支障を来している。 臨床研究としては癌病変を全切除できていることから確実な組織型が判明できるだけでなく、食道癌での悪性度のパラメーターとされているものの喉頭癌、下咽頭癌の早期癌では現状悪性のパラメーターとなりえていない静脈侵襲、リンパ管侵襲、神経浸潤等の有無、程度も確認できており、症例を集積していくと今後今研究から頸部リンパ節転移または遠隔転移のリスク因子となっていることを確認できる可能性もあるため、これらのパラメーターも注目しながら再発、頸部リンパ節転移、遠隔転移の有無等の治療効果を観察している。
|