研究課題/領域番号 |
26861383
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
矢間 敬章 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (30444631)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 血管新生 / 食餌性グルコシルセラミド / 頭頸部癌 / 血管新生増殖因子 |
研究実績の概要 |
頭頸部癌に対しての抗腫瘍効果を検討するために、免疫不全の特徴を持つNOD/SCIDマウスを使用したヒト舌癌細胞(SCCKN株)の異種移植モデルを作製し、グルコシルセラミド投与の有無が腫瘍発育のサイズに影響するかどうかを観察した。また、そのメカニズムについても検討した。 グルコシルセラミドを投与することで、移植した腫瘍サイズは縮小を認めた。しかし投与を中止すると、腫瘍の縮小は止まり、逆に再増大が観察された。 腫瘍生着後2週間経過した腫瘍と、生着後2週間グルコシルセラミドを投与継続した腫瘍をそれぞれ摘出し、血管新生を促すVEGF、VEGFレセプター、HIF-1αのシグナル発現について免疫染色とWestern blottingで検討を行ったところ、セラミド投与群でシグナルの発現抑制が見られた。 セラミドの抗腫瘍効果とネダプラチンの併用効果についてもpilot studyとして検討したが、短期間であったためか有意な差が得られなかった。 異種移植モデルマウスではなく、癌新生を起こしやすい遺伝子改変マウスであるH-rasノックアウトマウスを使用し、de novo癌でも同様に腫瘍発現の抑制が得られるか、同様のシグナル発現抑制が見られるかについて着手し始めている。 また、シグナル発現の抑制がどのように生じているのかについて検討するため、細胞間伝達に利用されるexosomeについて注目し、その放出量がセラミド投与の有無で変化するか、比較検討を予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すでに抗腫瘍効果および血管新生抑制効果についての論文報告がpublishされており、それについての学会報告も一通り行った。抗がん剤との併用効果はpilot studyで有意差が出ないと予想されたため、併用効果についての検討は中止とした。現在はメカニズム解明の次のステップへ研究を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
抗腫瘍効果のメカニズム解明のため、シグナル伝達などを担うと考えられるexosomeに焦点を当て、exosome放出量の比較をin vitroで検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品費について、院内施設から共用物品の無償提供を受けたため、大幅に削減が可能であった。
|
次年度使用額の使用計画 |
マウス飼育費用や新たな抗腫瘍効果メカニズムの解析に対する物品費および、学術集会への参加費として使用予定。
|