頭頸部癌に対するセラミドの抗腫瘍効果を検討するなかで、転移・浸潤および癌新生についての解析を行った。 転移・浸潤については、細胞間伝達において放出されるexosomeに注目した。まず腫瘍から放出されるexosome抽出実験では扁平上皮癌細胞と甲状腺未分化癌細胞を用いた。扁平上皮癌については3.00E+11、未分化癌からは9.40E+10個のparticleを回収できた。また先行研究では血管新生増殖因子の発現抑制が示されており、回収したexosomeからCD63の含有状況をWestern blot法を用いて確認したところ、C6-Cer投与群でCD63発現の抑制を認めた。今後内因性の影響についての検討も進めていくために、transfectionのpilot study も行い、扁平上皮癌・未分化癌に十分な遺伝子導入が出来るプロトコルを作成した。 癌新生の抑制効果については、癌新生を起こしやすい遺伝子改変マウスであるH-rasノックアウトマウスを使用し、これに発癌物質である4-ニトロキノリン1-オキシドを含有した液体を飲ませながら、グルコシルセラミドが含有された食餌を自由に摂食させ、咽喉頭・食道癌の発現状況についてcontrolと比較検討する方法をとった。グルコシルセラミド摂取量は経口摂取量を毎日測定し、その平均値で算定する。生存期間についても比較検討を行う。現在標本が全数回収完了したところであり、今後生存率や病理結果を集計し、解析を行う予定である。
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