研究実績の概要 |
本研究では、比較的稀な腫瘍であるが非常に多彩な組織型によって構成される唾液腺癌について、詳細な病理組織学的評価や分子生物学的背景に基づく診断法、組織分類、また個別化治療の確立につながる基礎的知見の集積を行うことを目的とする。 現在の研究状況として、唾液腺癌手術症例約240例について、臨床事項(治療内容,再発転移状況,予後等)、病理学的事項(組織学的悪性度,進展度評価,神経浸潤の有無等)のデータを集積。摘出標本ブロックを収集し、ホルマリン固定パラフィンブロックより組織マイクロアレイブロックを作成。p53, Ki-67, HER2といった腫瘍の悪性度や予後に関連すると考えられる分子の免疫組織化学染色を実施した。さらに、他臓器癌において臨床的悪性度との相関が報告されている、S100Pおよび関連分子であるRAGE, Ezrinに関しての発現解析を行うべく染色条件設定を実施中。今後、得られた臨床病理学的事項と上記分子発現との関連を解析予定である。 また、全対象症例から抽出するかたちで、1.唾液腺癌の中でも発生頻度の低いとされる大細胞癌症例に関して臨床病理学的特徴の検討を行い学会にて報告。2.大唾液腺癌と臨床像、病理学的特徴をやや異にする小唾液腺由来の癌症例について、臨床病理像の解析、治療法に関する検討を行い発表予定である。
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