唾液腺癌は悪性度の異なる様々な腫瘍により構成されている。本研究では221例の唾液腺癌症例においてezrin蛋白を中心に発現解析を行い、ezrin発現がHER2、p53、Ki-67といった既知の悪性度マーカーの発現と関連していること、ezrin高発現例は組織学的悪性度が高いことを明らかにした。またezrin高発現例は高率に遠隔転移を来し、独立した予後不良因子であった。とりわけezrinとHER2を共発現する症例は遠隔転移発生率が高く、有意に予後不良であった。ezrin高発現例(とくにHER2共発現例)に対しては、分子標的治療を含めた術後治療が、遠隔転移の予防、予後の改善に寄与する可能性がある。
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