マウス蝸牛正円窓に対する注入処置が困難であったため、モルモットを用いた。また、難聴化についてはシスプラチンを扱う実験環境が整わなかったため、ゲンタマイシン筋肉注射とエタクリン酸静脈注射による難聴化処置を行った。難聴化処置を行い、Ad-Tis21-GFPを蝸牛正円層より投与し、処置1日後、2週間後、1か月後に聴力評価を行った。2週間後には大きな差異は認めなかったが、1か月後には改善を認めた。また、らせん神経節細胞数カウントを行うと、2週間後、1か月後に明らかな差を認めた。すなわちTis21を内耳に導入することでらせん神経節細胞の保護効果を認め、ひいては難聴の進行抑制効果をもたらすことが示された。
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