研究実績の概要 |
申請者らはこれまでに、増殖抑制遺伝子の一つであるTis21PC3/BTG2(Tis21 はマウス、PC3 はラット、BTG2 はヒトに対応する相同遺伝子であり、以後Tis21 と表記する)に着目し、内耳の発生・分化におけるTis21 の役割について研究を行ってきた。Tis21 遺伝子は、BTG/Tob ファミリーと呼ばれる増殖抑制遺伝子群のひとつであり、WEHI-231 細胞(マウスリンパ腫細胞)を用いた研究において細胞増殖抑制作用を有し(Hata K, Exp Cell Res, 2007, PMID17466295)、PC12 細胞(神経分化モデル細胞)を用いた研究においてアポトーシス抑制作用を有していることが報告されている(el-Ghissassi F, Oncogene, 2002, PMID12360398)。また、マウスの小脳においてTis21がサイクリンD1、Atho1 を介して小脳顆粒細胞の発生を制御していると報告されている。これ以外にもTis21 が神経の発生・分化にかかわっているとする報告は多い。 本研究においては、Tis21 ノックアウトマウスを米国Jackson 研究所より購入した。Tis21 ノックアウトマウス個体を入手後、繁殖、ジェノタイピングを行い、その後実験に必要な個体数を得るために繁殖を行った。
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