今後の研究の推進方策 |
本年度進行が遅れていた頭頸部癌患者末梢血リンパ球と頭頸部癌細胞株との共培養による免疫応答の検討を継続する。網羅的解析に必要なmRNAおよびタンパクのサンプル採取方法についても見直しを行う。 加えて、MFG-E8発現ベクター,siRNAを頭頸部癌細胞株に導入し,培養上清中のMFG-E8の分泌増加を ELISA法で検討する。さらに,MFG-E8の抗アポトーシス効果を検討するため,これらのMFG-E8強制発現細胞株および発現抑制細胞株において,シスプラチン(0,1,2 mg/ml)に対する感受性の変化を検討する。感受性の評価についてはMTT assayで,アポトーシスの評価については,annexin VおよびPI染色を行いflowcytometryで,またCaspase-3/7活性をcolorimetric assayにて検討する。 さらに、MFG-E8は前癌病変では発現が見られないものの、頭頸部癌組織では発現が見られることに注目し、MFG-E8によるEMT誘導能についても検討する。頭頸部癌細胞にMFG-E8発現ベクター,siRNAを導入し,共焦点レーザー顕微鏡でEMTのマーカーであるE-cadherin,vimentinの発現を検討する。また,α,β integrinに対する抗体でブロックして,これらのタンパクの発現に変化が見られるか検討する。TwistやSnailなどの転写因子の発現についてもwestern-blot法で検討する。この結果,癌細胞からautocrineされるMFG-E8がEMTを誘導するかどうかを検討する。 これらの研究を系統的にすすめていくことで,MFG-E8が生体内ワクチンとして、頭頸部癌における新たな治療標的となりうるか検討する。
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