研究課題/領域番号 |
26861403
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
野本 美香 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50554416)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 気管再生 / 軟骨細胞 / 線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
全身麻酔下にウサギの肋軟骨を採取し、軟骨細胞の培養を行った。2~3回の継代培養で移植に十分量の軟骨細胞を得ることが可能であった。 線維芽細胞の採取に当たっては、どの部位からの採取が最も線維芽細胞を効率的に得ることができるか、低侵襲であるかをまず評価した。ウサギの口腔からは頬粘膜、歯肉粘膜、口腔底粘膜を採取した。いずれの場所も多少の出血はあったが、処置にて止血可能であった。採取後の経口摂取に大きな影響はなく、摘出後に衰弱するウサギは認めなかった。しかし、採取手技の難易度には差があり、また採取可能な組織片の大きさにも差があった。また、耳介皮膚を採取し、皮膚からの線維芽細胞採取も試みた。採取した各部位の粘膜、皮膚を接着培養を行い、線維芽細胞を増殖させた。皮膚はシャーレからはがれてしまい、接着培養がうまく進まない例が多かった。粘膜はいずれも線維芽細胞の増殖が確認できた。手技の容易さからは歯肉粘膜が一番採取が行いやすいと考えられた。 自家移植を前提として、同一個体より全身麻酔下に肋軟骨と歯肉粘膜を採取し、それぞれ軟骨細胞、線維芽細胞の培養を行った。しかし、軟骨細胞と線維芽細胞では一回の採取で得られる細胞数が異なり、また、増殖スピードも異なることより、軟骨細胞が移植に十分な細胞数を採取できる時期には線維芽細胞は十分量は得られなかった。 今後、採取の際に歯肉粘膜の採取面積を増やすことや、肋軟骨採取の数週前に歯肉粘膜を採取し軟骨細胞の培養に先だって線維芽細胞の培養を開始するなどの工夫が必要と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ウサギの肋軟骨を摘出し、軟骨細胞を培養・増殖することが可能であった。また、歯肉粘膜、口腔底粘膜、頬粘膜、耳介皮膚の接着培養を行い、採取の簡便さや線維芽細胞の採取量などから歯肉粘膜からの線維芽細胞採取が行いやすいと考えられた。しかし、同一個体より同時に肋軟骨と歯肉粘膜を採取した際に、軟骨細胞の増殖に対し、線維芽細胞の増殖の程度が遅く、人工気管に軟骨細胞と線維芽細胞を導入するまでには至らなかった。今後粘膜採取の量についての検討や肋軟骨採取の時期と線維芽細胞採取の時期について調整することが必要と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、採取の際に歯肉粘膜の採取面積を増やすことや、肋軟骨採取の数週前に歯肉粘膜を採取し軟骨細胞の培養に先だって線維芽細胞の培養を開始するなどの工夫が必要と考えられる。 軟骨細胞、線維芽細胞が必要数確保できるようになれば、人工気管に導入し組織学的評価を行う。 また軟骨細胞・線維芽細胞付加人工気管をウサギの気管欠損部に自家移植し、各種観察期間の後に摘出し、組織学的評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は十分量の線維芽細胞が得られなかったため、細胞の人工気管への導入を行わなかった。それに伴い組織標本作製及び評価を行わなかったため、予定していた画像解析装置の計上、購入を見送った。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は組織標本による細胞の評価が必要となってくるため、前年度購入予定であった画像解析装置購入し評価を行う予定。
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