研究実績の概要 |
癌や外傷、炎症、先天奇形などにより気管の一部を切除しなければならない場合があり、気管を再生させるための技術開発が急務とされている。本研究の目的は、ヒトiPS細胞から気管を構成する軟骨細胞へ分化誘導し、ヒトiPS細胞由来気管軟骨細胞と生体適合性のある足場材料を組み合わせた気管再生技術の開発である。 平成26年度では、(1)ヒトiPS細胞由来気管軟骨細胞や分化細胞の移植を見据えた蛍光マーカーの導入、(2)移植のための足場材料の作製、(3)ヒトiPS細胞から気管を構成する軟骨細胞へ分化誘導させるための沿軸中胚葉への分化誘導、を実施した。 (1)ヒトiPS細胞へ蛍光マーカーの導入 蛍光マーカーであるGFPやtdTomatoをヒトiPS細胞に導入し、これらのマーカーを恒常的に発現するヒトiPS細胞を樹立した。 (2)足場材料の作製 Ⅰ型コラーゲンを凍結乾燥させてコラーゲンスポンジとし、気管軟骨の再生に合わせた足場材料を作製した。 (3)ヒトiPS細胞から沿軸中胚葉への分化誘導 数種類の成長因子、サイトカイン、低分子化合物を組み合わせることで、沿軸中胚葉マーカーであるCDX1, CDX4, Tbx6, MSGN1, PDGFRαの発現量が著しく上昇し、それらの陽性細胞を高い割合で確認することができた。
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