本研究は、ヒトiPS細胞から分化誘導させた気管軟骨細胞を利用し、生体親和性の高い人工気管を開発することで、気管欠損部位の再生を目的とする。まず、低分子化合物と成長因子を用いてヒトiPS細胞から沿軸中胚葉へ高効率に分化誘導させた。次に、ヒトiPS細胞由来沿軸中胚葉から気管軟骨細胞へ分化誘導させるために、気管軟骨細胞分化に関わる転写因子Aを強制発現させることで気管軟骨細胞へ分化誘導させた。生体適合性のある人工材料とヒトiPS細胞由来気管軟骨細胞を組み合わせたハイブリット型の人工気管を気管欠損モデルラットに移植した結果、移植2週間後においてもラットの生存が確認され、気管欠損部位の再生が示唆された。
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