アレルギー性鼻炎による嗅覚障害を検討するために、まずアレルギー性鼻炎モデルマウスを作成した。アレルギー性鼻炎モデルマウスは従来我々が作成した方法と同様の方法で、OVA抗原を腹腔内に投与し、1週間後より2週間OVA抗原を点鼻することで作成した。このモデルマウスはくしゃみ、鼻かきなど臨床所見を認め、従来のアレルギー性鼻炎モデルマウスと同等のモデルマウスが作成できたと考えられた。 本研究ではまずアレルギー性鼻炎マウスの嗅覚障害を検討した。2方向のゲージを用いてマウスが目標物まで到達する時間を比較検討したところ、有意にアレルギー性鼻炎モデルマウスにおいて到達時間の延長を認め、嗅覚障害を反映していると考えられた。また、アレルギー性鼻炎モデルマウスに対してステロイド (リンデロン) の点鼻を行ったところ、到達時間の減少を認め、リンデロン点鼻による症状の改善を認めた。一方、生理食塩水点鼻では症状の改善を認めなかった。 このようなリンデロンによる改善効果を認めたため、現在リンデロン点鼻、生理食塩水点鼻のマウスにおいて血清IgEに変化があるか検討している。そして、各治療後のマウスの頭部を採取し、嗅裂における組織学的変化、好酸球の浸潤などを計画している。また、各治療後のマウス脾細胞を採取し、OVA抗原で刺激して脾細胞の白血球の分画の変化をセルアナライザーで、上清中のサイトカインをELISAで測定している。
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