研究課題/領域番号 |
26861424
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
兵 行義 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80412203)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 超微形態的特徴 / 黄色ブドウ球菌 / マクロライド |
研究実績の概要 |
慢性鼻副鼻腔炎は難治化し、従来の細菌感染症による好中球性副鼻腔炎とベースにアレルギーの関与を示唆する好酸球性副鼻腔炎など多彩な原因による疾患である。なかでも慢性鼻副鼻腔炎には本邦から発信されたマクロライド系抗菌薬を利用した治療法が確立をされている。 我々は以前から薬剤耐性菌と形態的変化を追求し、マクロライド耐性ブドウ球菌は細胞壁肥厚という形態的特徴を有することが分かった。それをもとにして、当院中央検査部から譲渡された、表皮ブドウ球菌においても同様の検討を行ったところ、同じように細胞壁肥厚という形態的特徴を有していた。さらに、既存のマクロライド耐性遺伝子の所持を検索したところ、既知のマクロライド耐性遺伝子の所持をしていない菌株が多数あることが分かり、マクロライド耐性化には未発見の遺伝子があることも示唆されている。 また黄色ブドウ球菌にはProtein Aを所持しており、それによりIgG抗体の関与する免疫反応を有する系は施行することが困難であったが、我々はProtein Aを欠損した黄色ブドウ球菌を所持しており、これからマクロライド耐性黄色ブドウ菌を分化誘導することができた。 これをもとにして、表層の変化であることから、LTAの局在、ATLの所有量、ペプチドグリカン量の測定や臨床的にはバイオフィルム形成能の有無についての検証を行いマクロライド耐性化することにより難治化をひきおこす可能性が高いことを導けるように実験を遂行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
バイオフィルム形成能を評価する実験系の立ち上げに時間を要してしまった。 平成28年度には完成したことから平成29年度で実験を遂行したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
マクロライド耐性菌とそれ以外での細菌学的評価の遂行を行う予定である。具体的にはバイオフィルム形成能や、電子顕微鏡を用いたATLの局在についての検証を行う。 またマウスにおいても感染実験を行い、これによりさらにアレルギー因子も悪くなるかどうかも検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新たな実験系(バイオフォルム形成能とアレルギー感作モデル)に時間を要してしまった。この系の立ちあげは昨年度完成したために、これをもとにして実験を遂行したいと考える。
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次年度使用額の使用計画 |
実験系は立ち上げに関しては可能となったので、これをもとにして実験を遂行するための抗体費や治療におけるあらたな機種の立ち上げに使用する予定である。
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