研究課題/領域番号 |
26861434
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
檜森 紀子 東北大学, 大学病院, 助教 (20705230)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / 緑内障 |
研究実績の概要 |
本研究の課題の一つである緑内障病態における酸化ストレスの関与について、転写因子Nrf2の下流にある抗酸化酵素HO-1の神経保護効果を検討した。野生型マウス(12週齢、雄、C57BL6)を用い、軸索障害7日後の網膜神経節細胞を純化回収しマイクロアレイ解析を行うと、無処置群と比較し、HO-1の発現が上昇していた事を見出した。さらに、QPCRにおいても軸索障害4日目、7日目の単離した網膜神経節細胞においてHO-1の発現が有意に上昇していた。免疫染色において無処置状態では網膜神経節細胞層にHO-1を認めないものの、軸索挫滅1、4、7日後の網膜神経節細胞層にHO-1のシグナルを確認でき、またHO-1陽性細胞の割合は25、64、84%と軸索障害後の日数が経つにつれ上昇を認めた。そして、軸索障害前後にHO-1活性剤を投与すると、生存網膜神経節細胞の減少を有意に抑制した。 2つ目の課題である神経保護薬の探索についてはin vivo実験において神経保護作用を有する化合物をスクリーニングし、候補化合物を見出すことができた。 3つ目の課題である緑内障患者における酸化ストレス病態との関係は、正常コントロール群と比べ正常眼圧緑内障群において尿中8OHdG値(DNA酸化ストレスマーカー)が有意に高いことを我々の研究においても確認した。そして、正常眼圧緑内障患者の尿中8OHdG値と視神経乳頭血流との相関を認めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように本研究において当初の計画通りに順調に実験結果が得られていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
緑内障病態における酸化ストレスの関与については現在動物モデルを用い、どのようなタイプの網膜神経節細胞がHO-1陽性かを検討中である。 緑内障患者における酸化ストレスについては、病期や進行速度と酸化ストレスが関与するか調査を行う。 また、神経保護薬の探索についてはin vitroで得られた結果を基に緑内障モデルにおけるin vivo実験にて検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年緑内障患者における酸化ストレス関係の研究における試薬購入に充てる予定であったが、予想したよりも購入量が少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
緑内障患者における酸化ストレスの関係の研究において、酸化ストレス、抗酸化力の計測する際の試薬購入に使用予定。
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