研究課題
難治性視神経症である外傷性視神経症や虚血性視神経症は現在のところ著効する治療法は未だ確立されていない。当科では経角膜電気刺激治療といった新たな治療法をこれらの症例に対して行い、ある程度(疾患によっては40%)の症例で視機能が改善することを経験し、学会等にて報告した。しかし視機能改善は視力検査、視野検査といった自覚的検査での評価しかなく、他覚的かつ定量的に評価する方法を必要としていた。本研究は、外傷性視神経症や虚血性視神経症などの難治性視神経疾患に対して経角膜電気刺激治療の他覚的、定量的評価を瞳孔記録計RAPDxを用いて行うことを目的とした研究だが、初年度ほどではないものの、この1年間も難治性視神経症である外傷性視神経症や虚血性視神経症の症例の受診は期待したほどの受診数ではなかったため、残念ながら今のところ実績はあまりない。しかし初年度と同様に、視神経炎の改善過程の評価や心因性視覚障害の診断については非常に有用であり、こちらも少ないながらも症例を積み重ねている。来年度も引き続き外傷性視神経症や虚血性視神経症の症例を集めていく予定である。
4: 遅れている
この1年で外傷性視神経症は3例、虚血性視神経症は5例受診され、初年度ほど少なくはないが、目標とした症例数にはとどいていない。上記症例全例に経角膜電気刺激治療を行い、その前後にRAPDxでの評価を行ったが、今のところ著明に視力改善した症例や、RAPDxでのscore値で改善を認めた症例はほぼ皆無であったのが実情である。
引き続き外傷性視神経症と虚血性視神経症の症例を集めることを最優先に行っていこうと考えている。しかし両疾患は症例自体が少なく、今年度も症例不足の可能性も否定はできないので、引き続き新規の視神経炎症例についてもRAPDxを施行し、並行して症例を集めていく予定である。当初の計画では最終年度であるH28年度は、治療結果の解析に重きを置く予定とし目標症例数は定めていなかったが、H28年度も症例を集めることによって当初の計画の症例数に少しでも近づけるものと考えている。
物品購入等の納品検収は平成27年度内に完了しているが、支払いが4月となり次年度となったため。
平成27年度に執行済であり、4月に支払いが完了している。
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