研究課題/領域番号 |
26861444
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安田 俊介 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60718419)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 網膜静脈閉塞 / 網膜電図 / 血管内皮増殖因子 |
研究実績の概要 |
網膜電図(ERG)が網膜虚血の指標として有用であることが知られている。以前に我々は、網膜中心静脈閉塞(CRVO)眼において、フリッカ網膜電図(ERG)の潜時が眼内の血管内皮増殖因子(VEGF)濃度と有意に相関することを報告した。しかし、VEGF療法前後の網膜機能の変化についてはほとんど知られていなかった。近年皮膚電極でフリッカERG を記録することができる小型の装置レチバルが発売された。この装置を用いることでより低侵襲にERGを記録することが可能となり、経過中に繰り返しERGを記録するのに有用と考えられた。そこで我々は、レチバルを用いてCRVOに対するラニビズマブ療法前後のフリッカERGについて検討した。名古屋大学病院にてCRVOの黄斑浮腫に対してラニビズマブ療法を施行した15例15眼を対象とした。ラニビズマブ療法前には、レチバルと、従来のコンタクトレンズ電極を用いた装置でフリッカERGを記録し、両者のERG所見を比較した。ラニビズマブ注射1か月後に、レチバル を用いたフリッカERGを記録し、注射前のERG所見と比較した。治療前に記録したレチバルと従来法のフリッカERGとの比較では、振幅・潜時とも有意に相関がみられた。ラニビズマブ注射前後で振幅には差はみられなかったが、潜時は治療後に有意に短縮した。CRVOに対するラニビズマブ療法後にフリッカERG潜時の短縮がみられたことは、治療後の網膜機能の改善を示唆すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
網膜中心静脈閉塞(CRVO)に対する抗VEGF療法前後の網膜機能の変化についてERGを用いて検討し、抗VEGF療法後に網膜機能の改善がみられることがわかった。抗VEGF療法時には前房水を採取しており、前房水中のサイトカイン濃度との関連についても解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後もCRVO,hemiCRVO, BRVOについて症例数を増やして解析を進めていく。アフリベルセプトがCRVOに伴う黄斑浮腫に対して承認されたため、ラニビズマブ・アフリベルセプトでの治療に伴う比較も可能となったために、行っていく予定である。また、BRVOに伴う黄斑浮腫に対するアフリベルセプトの使用も今後承認される可能性があり、その場合にはBRVOについても比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会出席のための旅費を計画よりも削減することができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に予定していた研究計画を実行するために使用する。具体的には、繰越金は論文作成のため英文校正費用にあてることを考えている。
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