研究実績の概要 |
日本人の網膜色素変性患者およびUsher症候群患者329名に対し、次世代シークエンサーを用いて、網膜変性疾患関連遺伝子193遺伝子を網羅的にシークエンスを行った。網膜色素変性患者317名中115名、Usher症候群患者12名中6名において分子遺伝学的診断を行うことができた。EYS遺伝子、USH2A遺伝子、RHO遺伝子異常による網膜色素変性が多く認められた。またこれまで網膜色素変性の原因変異と報告されていた189箇所のうち、55変異は日本人の正常データベースで頻度の高い変異であり、網膜色素変性の原因変異ではないことが判明した。 日本人の錐体-桿体ジストロフィー患者43名に対して、上の同様の網羅的シークエンスを行った。43名中12名で原因変異を同定した。原因遺伝子はABCA4, CDHR1, CRB1, CRX, GUCY2D, KCNV2, PROM1, PRPH2, RDH5と多岐にわたり、錐体-桿体ジストロフィーがheterogenousな遺伝的背景を持つことが判明した。 分子遺伝学的診断の確定した121名の網膜色素変性患者および錐体桿体ジストロフィー患者の臨床所見を列散布図を用いて、評価した。PDE6B, PRPH2, RPGR変異を持つ患者、RP1L1およびUSH2A変異を持つ55歳以下の患者は視力0.1以上を保っていた。RPGR変異を持つ患者はハンフリー視野計10-2でMD値-20dBを下回ることはなかった。ERGは桿体応答はほとんどの患者で消失してた。RHO変異の患者のうち半分は錐体ERGが残存していた。
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