研究課題
視線方向の判断には,視覚フィードバック情報に加え外眼筋の固有知覚と遠心性コピーが用いられていると考えられている.外眼筋を切除しない筋短縮術であるPlication法は低侵襲の術式であり,外眼筋の固有受容器への侵襲は筋切除に比べ小さいと考える.Plication法と筋切除の術後の視線方向変化について解析し,その違いについて調査する.岡山大学病院で2016年11月~2018 年4月までの期間に外斜視に対し片眼斜視手術を施行した連続症例で前転法にPlication法を用いたもの10例(平均年齢17±4),筋切除6例(平均年齢17±10)を対象.被検者の頭部を正中位に固定し,片眼遮閉下で単眼視(術眼,非術眼)させ,視覚情報のない暗室下で被検者自身が中心と認識する視線位置をポインターで示してもらい,実際の中心からの視線位置の水平偏位量(°)を測定した.術前,術翌日での術眼,非術眼,両眼の偏位変化量をMann-WhitnyのU検定で比較した.偏位変化量(平均±SD)は,Pliation法と筋切除の術眼で1.7±3.0°,2.9±4.6°(P=0.30),非術眼で2.1±1.6°,3.1±3.7°(P=0.22)であり有意差を認めなかった.両眼(両眼の和)では3.8±2.5°,6.0±5.4°であり有意差を認めた(P<0.05).Plication法は視線方向に与える影響が小さい.これは,外眼筋の固有知覚が関与している可能性を示している.
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