研究課題
網膜血管径の変化と緑内障、加齢黄斑変性発症の関係、被曝放射線量の血管径への影響を明らかにすることが目的である。正常眼圧緑内障の視神経障害機序として循環障害が注目されている。加齢黄斑変性も黄斑部の虚血が原因と考えられている。放射線被曝で網膜動脈硬化が促進され網膜脈絡膜循環障害が生じること、正常眼圧緑内障が被曝線量に応じて増加することが報告された。低線量の被曝が眼循環障害をきたし正常眼圧緑内障や加齢黄斑変性の頻度を増加させる可能性がある。われわれは広島、長崎コホート調査で得られた眼底写真をもとに、国際的に標準化された方法を用いて網膜血管径と細動脈硬化指数を求め、これらの指標と被曝線量、緑内障発症の関係を病型毎に統計学的に検討した。正常眼圧緑内障は被曝線量が増えると増える傾向があったが、眼圧の高い緑内障は減る傾向があることが分かった。これについては論文で報告した。加齢黄斑変性と放射線被曝の関連はこれまで明らかにされていなかった。眼底写真をセクターに分けて各セクターにおける色素上皮の変化、出血、色素沈着、ドルーゼンの有無から加齢黄斑変性の程度を分類した(The Wisconsin Age-related Maculopathy Grading System)。ロジスティック重回帰分析を行い、眼被爆線量1Gyあたりのオッズ比を解析した結果、加齢黄斑変性の有病危険度と放射線被爆との関連はなかった。このことを論文で報告した。
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