研究実績の概要 |
平成26年度,角膜上皮細胞,あるいは角膜線維芽細胞を凍結,融解させることでネクローシスを誘導し,そこから細胞抽出液を採取し,アラーミン分子を同定した。さらにアラーミン分子を用いて,NF-kB, MAPKなどのシグナル伝達経路の解析や細胞死,細胞移動や接着に対する作用を検討した。 平成27年度は,同定したアラーミン分子を用い,Ⅰ型コラーゲンにて三次元培養した角膜線維芽細胞と共培養した。培養上清を採取し,限外濾過されたコラーゲン分子よりヒドロキシプロリンを測定し,コラーゲン分解能が有意に促進されていることがわかった。また,コラーゲン分解酵素の一つであるMMPsの発現を検討したところ,MMP2,3,9で発現上昇がみられた。このことから,アラーミン分子はコラーゲン融解を促進する作用があることが示唆された。 次に角膜上皮細胞のバリアー機能へのアラーミン分子の作用を検討した。まずはTrans Epithelial Resistance:TERを測定したところ,アラーミン分子を添加したほうが有意に下がっていた。またタイトジャンクション機能を評価するためにZO-1, occludin,アドヘレンスジャンクションを評価するのにE-cadherin, β-cateninの発現を免疫組織学的に検討したところ,これらの発現は抑制されていた。これらのことから,アラーミン分子はバリアー機能を落とす作用があることが示唆された。 ウサギ角膜炎モデルについての検討は現在進行中である。
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