研究課題/領域番号 |
26861455
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉田 倫子 九州大学, 大学病院, 医員 (70725853)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 慢性炎症 |
研究実績の概要 |
研究代表者らは近年中枢神経系のマクロファージであるマイクログリアの活性化とそれに付随する炎症反応が網膜色素変性の病態に関与していることを報告した。マクロファージは周囲の刺激因子に応じて「炎症促進型」のM1マクロファージと「抗炎症型」のM2マクロファージへ分化することが知られているが、網膜色素変性の病態の関与については未だ不明である。本年度は特に慢性炎症におけるマクロファージの役割を検討することを目的として研究を実施した。 1.網膜色素変性モデル動物におけるM1、M2マクロファージの動態と病態への関与 自然発症の網膜色素変性モデル動物であるrd10マウス網膜よりmRNAを採取し、real-timePCR法を用いてM1、M2マクロファージマーカーの発現量を測定した。また、M1、M2マクロファージマーカーに対する抗体を用いて免疫組織化学染色を施行し、各マクロファージの細胞数ならびに局在の変化について検証した。rd10マウス網膜は生後の異なる時点で経時的に評価を行った。その結果、M1、M2マクロファージはいずれの時期においても発現量が上昇していたが、週数が上がるにつれて徐々に減少を認めた。 2.網膜色素変性モデル動物におけるピタバスタチンのM2誘導促進作用と視細胞保護効果の検討 本年度はピタバスタチンの投与方法、投与量等について検証を行った。実際の投与に関しては来年度に実施し、M1、M2マクロファージマーカーの発現変化を含めたピタバスタチンの効果について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
M1、M2マクロファージの網膜色素変性の病態への関与に関しては、当初の実施計画に従って順調に研究が進められている。 ピタバスタチンを用いた研究では、その投与方法を含めた検証を行っていることから研究開始に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に引き続き研究を実施する。ピタバスタチンを用いた研究では、研究の遅れを取り戻すべく、積極的な投与ならびに検証を行う。 1.網膜色素変性モデル動物におけるM1、M2マクロファージの動態と病態への関与 今後は網膜変性の開始早期にM1、M2マクロファージの活性がどのように変化するかを検討する予定としている。 2.網膜色素変性モデル動物におけるピタバスタチンのM2誘導促進作用と視細胞保護効果の検討 実際にピタバスタチンを投与し、M1、M2マクロファージマーカーの発現変化を含めたピタバスタチンの効果について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は予定していたピタバスタチンの実際の投与が施行されず、当初の予定よりも物品購入額等が少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は実際にピタバスタチンを投与する予定であり、その際に使用予定である。
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