研究課題/領域番号 |
26861457
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高橋 枝里 熊本大学, 眼科学分野, 助教 (60622602)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 上皮間葉転換 / 網膜色素上皮細胞 / Merlin |
研究実績の概要 |
網膜色素上皮細胞の上皮間葉転換 (EMT) は増殖硝子体網膜症などの線維性病変の原因の一つであり、我々はTNF-αが誘導するEMTメカニズムに注目している。このTNF-αが誘導するEMTにおいて、FERMドメインを持つMerlinが非刺激下ではCD44と会合して細胞膜に局在する一方で、持続的なTNF-α刺激により低下することも見出した。Merlinは非刺激下のRPEではCD44と会合し、TNF-α刺激下で会合が減少していた。Merlin siRNAの結果、ERMのリン酸化が亢進し、CD44とリン酸化ERMは共局在し、ヒアルロン酸結合能が亢進した。さらに、Merlin siRNAはTAK1ーp38MAPKシグナル活性化に関与を誘導し、細胞増殖とEMT誘導に必須であった。これらの結果はRPEの上皮間葉転換誘導に重要な経路を特定するものであり、EMTが関連する線維性疾患の新たな標的となる可能性がる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TNF-αが誘導するEMTにおいてMerlinの役割をin vitroにて明らかにし、その成果はInvestigative Ophthalmology & Visual Scienceに2015年3月受理された。また、硝子体サンプルとEMTシグナルの活性化について解析を行った結果は2016年1月にBiochmical and Biophysical Research Communicatonsに受理された。
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今後の研究の推進方策 |
Merlinの下流で活性化を認めたTAK1に注目し、その阻害薬の効果をin vivo増殖硝子体網膜症モデルでも検討する。
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