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2014 年度 実施状況報告書

サルコイドーシスの病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 26861463
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

永田 健児  京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (00457988)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードサルコイドーシス / Propionibacterium acnes / ぶどう膜炎 / 硝子体中サイトカイン / 黄斑浮腫
研究実績の概要

(1)Propionibacterium acnes (P. acnes)が眼サルコイドーシスに関与するかどうか検討するため、これまでに計25眼の網膜生検を実施した。このうちサルコイドーシスの症例は14例15眼であり、全例において網膜内に非乾酪性肉芽腫を検出することができた。網膜は生検部位としても適していることが分かった。11例12眼で免疫染色を用いてP. acnesの存在を検討したところ、12眼中10眼という高頻度に網膜内にP. acnesを認めた。一方コントロール群では1例もP. acnesは検出されておらず、P. acnesの眼サルコイドーシスへの関与を強く示唆する結果が得られた。さらに肉芽はCD68陽性のマクロファージとCD4陽性のTリンパ球で主に構成されており、特に網膜内層にその中心を認められP. acnesの感染経路として網膜血管を介したものであることが示唆された。
(2)硝子体でもセルブロックを作成して(1)と同様の検討を行い、P. acnesの検出される症例も少数認めた。
(3)手術の有効性や黄斑浮腫に関与する因子を検討するため、手術時と3か月時点の硝子体液を採取し、硝子体中のサイトカインを測定して比較した。その結果、術前と比較して術後3か月時点においてInterleukin (IL)-1ra、IL-4、IL-6、IL-9、IL-12、Interferon-γ、Interferon gamma-induced protein (IP)-10、Platelet-derived growth factor (PDGF)-bb、regulated on activation, normal T cell expressed and secreted、Tumor necrosis factor (TNF)-αが有意に低下していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1)網膜生検については目標の症例数までは達していないものの、現在の症例数においても、その原因・病態解明において非常に有用なデータが得られている。
(2)硝子体のセルブロックの検討ではその細胞数の問題などから有用性は網膜には劣るため、網膜での検討を中心に行うことが望ましいと現在のところは考えらる。
(3)硝子体中サイトカインの検討はさらに黄斑浮腫等との相関を検討するには術前は多くのサンプルがあるが、術後のサンプルのさらなる採取が必要である。
以上のようにデータは概ね予定通りにとれているが、もう少し継続が必要であることから概ね順調と判断した。

今後の研究の推進方策

基本的には現行の検討の症例数を重ねて検討を行う。
(1)生検網膜での検討は、症例数は目標の半分以上は既に採取できており、現行のペースを維持する。
(2)硝子体中サイトカインは術後の症例数を増やして、特にOCTにより黄斑浮腫と強く相関するサイトカインを検索する。有力なサイトカインが判明すれば実験的自己免疫性ぶどう膜炎の動物モデルでの抗体治療の検討を行い、その有効性の評価を行う。
(3)P. acnesに対する治療としてマクロライド系抗菌薬の術後炎症における効果を検討する。特に網膜生検でP. acnesが検出された症例を中心に行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

京都あるいは近畿圏での学会開催が多かったため、予定より旅費が少なく済んだ。

次年度使用額の使用計画

平成27年度は学会が近畿圏ではほとんどなく遠方での学会が多いため、平成26年度未使用の旅費については平成27年度の旅費に必要となる予定である。その他にはmultiplex ELISAによるサイトカイン測定用のキット等の購入に充てる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] ぶどう膜炎に対する硝子体手術成績2014

    • 著者名/発表者名
      永田健児、木下 茂
    • 学会等名
      第120回京都眼科学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-06-01
  • [学会発表] Retinal biopsy in patients with ocular sarcoidosis and patients with rhegmatogenous retinal detachment.2014

    • 著者名/発表者名
      Kenji Nagata, Kazuichi Maruyama, Kazuhito Yoneda, Takeru Yoshimura, Koh-Hei Sonoda, and Shigeru Kinoshita
    • 学会等名
      The Association for Research in Vision and Ophthalmology
    • 発表場所
      Orlando, USA
    • 年月日
      2014-05-04 – 2014-05-08
  • [学会発表] 眼サルコイドーシスにおける硝子体中のPropionibacterium acnes.2014

    • 著者名/発表者名
      永田健児、江石義信、木下 茂
    • 学会等名
      第118回日本眼科学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-04-02 – 2014-04-06

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公開日: 2016-06-01  

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