研究課題
2015年度は、2014年度に確立したヒヨコの実験系と測定系をもとにした具体的な近視進行抑制に有効な因子の検討・本実験を計画通りに行った。2014年度に行ったmTOR signaling関連薬を用いた予備実験の結果をもとに本実験を行い、mTOR signaling関連薬としてAMP-activated protein kinase (AMPK)を介した細胞内シグナル伝達系刺激により糖代謝を改善する、現在でも広く臨床で用いられている経口血糖降下剤を使用した。この薬剤は糖尿病だけでなく加齢に伴う様々な臓器障害に対して治療的効果が報告されている。2015年度はヒヨコ実験近視モデルを用いてこの薬剤の経口投与の近視進行に対する影響を検討した。その結果、体重などに影響を及ぼさずに眼軸長伸長を抑制する効果があることを発見し、実験近視モデルではあるが眼軸長伸長を抑制し近視進行を抑制する可能性が示唆された。現時点では強度近視眼の眼軸長伸長を抑制する安全かつ有効な手段がないままであり、やがて病的近視となり失明に至る経過を抑制することができないのが現状である。本結果により将来的には強度近視眼の眼軸長伸長を抑制できる可能性が示唆され、その結果を2016年4月7日に仙台にて行われた第120回日本眼科学会総会の一般講演にて成果を報告した。なお本講演は「Young ophthalmologistの挑戦」として注目の一般演題として取材をうけ、学会発表当日配布の学会誌に取り挙げて頂いた。
2: おおむね順調に進展している
ほぼ計画書通りに進行しているため、おおむね順調と判断した。
当初の計画通り、最終年度である2016年度はこれまで行った結果の学会・論文報告と必要な追加実験を行っていく予定である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
眼科
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