前年度までに、増殖糖尿病網膜症および増殖硝子体網膜症患者の硝子体液中にmicroRNA-21が高く発現していることを見出し、さらに、miR-21は網膜色素上皮細胞にて高発現しており、網膜色素上皮の増殖に機能することで、眼内増殖疾患の病態に関与している可能性を見出した。 さらに、microRNA-21は血管内皮細胞にも高発現しており、高グルコース濃度下の血管内皮細胞にはmicroRNA-21が更に強く発現することを見出した。血管内皮細胞から発現するmiR-21が糖尿病網膜症の病態に関与する可能性を培養ヒト網膜微小血管内皮細胞を用いて、検討したところ、網膜微小血管炎症抑制に重要な機能をもつペルオキシソーム増殖因子活性化受容体αの発現を抑制する結果が得られた。 これらのことから、糖尿病網膜症の病態において、microRNA-21は、眼内増殖および網膜微小血管炎症の両者に機能する可能性が示唆された。
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