研究実績の概要 |
ぶどう膜炎は炎症性疾患であり、多数の免疫学的な検討がこれまでになされてきた。しかし過去の報告は獲得免疫系であるT細胞応答に焦点をあてたものが多く、自然免疫系細胞である網膜内マイクログリアやマクロファージに着目した報告は少ない。しかしながら健常網膜内においてT細胞は存在しえないことから網膜内の局所炎症発生のトリガーとなるのは網膜在住マクロファージであるマイクログリアではないかと我々は考えている。 今研究において我々はCx3cr1およびCcr2に蛍光物質を遺伝的に導入したCx3cr1GFP/GFPマウスとCcr2RFP/RFPマウスを配合し作成したCx3cr1GFP/+Ccr2RFP/+マウスにInterphotoreceptor retinoid-binding protein (IRBP)を結核死菌が含まれたComplete Freund's Adjuvant (CFA)および百日咳菌毒素と免疫し実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(Experimental autoimmune uveoretinitis; EAU)を発症させた。先行実験においてはマイクログリアおよびマクロファージはCx3cr1およびCcr2を用いて識別が可能であった(Kohno H, Okano K et.al. J Neuroinflammation. 2015;12:188.)。また活性化したマイクログリアはその活性化の過程においてCcr2を発現した。EAUにおいてもCx3cr1陽性の樹枝状マイクログリアおよびCcr2陽性マクロファージの網膜内侵入を認めた。現在時系列に沿ったEAUにおけるマイクログリアおよびマクロファージの所見を検討している最中である。
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