研究課題/領域番号 |
26861474
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
福本 雅格 大阪医科大学, 医学部, 助教 (40707957)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖尿病網膜症 / アンジオテンシン / 血管透過性 / PLGA / VEGF / ICAM-1 / MCP-1 |
研究実績の概要 |
エバンスブルー法による血液網膜関門の透過性亢進を確認したところ、ストレプトゾシン腹腔内投与による糖尿病ラットモデルでは、血管透過性亢進が確認された。カンデサルタン370ugを含むポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)微粒子を結膜下投与をすることで血管透過性亢進は抑制された。 コンカナバリンレクチン灌流標識技術を用いて網膜血管内壁への白血球接着を確認したところ、糖尿病ラットモデルでは白血球接着亢進が確認された。カンデサルタン内包PLGA微粒子を結膜下投与することで白血球接着亢進は抑制された。 次に炎症及び血管新生関連因子に対するカンデサルタン内包PLGA微粒子の結膜下投与による抑制効果を確認した。糖尿病ラットモデルの網膜での血管内皮増殖因子(VEGF)のmRNA及びタンパク発現は亢進していたが、カンデサルタンの結膜下投与により抑制された。白血球の網膜血管内壁への接着に重要な役割を果たすICAM-1のmRNA及びタンパク発現について検討したところ、VEGFと同様の結果を認めた。さらに強力な走化因子であるmonocyte chemotactic protein(MCP)-1のmRNA発現についても同様の結果を認めた。 これらのことから、アンジオテンシン受容体拮抗薬であるカンデサルタンの徐放化局所投与により糖尿病網膜症モデルでの網膜血管への白血球接着亢進、血管透過性亢進及び炎症関連因子発現亢進が抑制されることが示された。現在、MALDI-TOF-MS法を用いて結膜下投与したカンデサルタンの眼内移行性について検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンジオテンシン受容体拮抗薬であるカンデサルタンの徐放化局所投与により糖尿病網膜症モデルでの網膜血管への白血球接着亢進、血管透過性亢進及び炎症関連因子発現亢進が抑制されることが示された。
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今後の研究の推進方策 |
結膜下投与したカンデサルタンの眼内組織、血中への移行性を検討する。具体的には眼球から新鮮凍結切片を作成し、MALDI-TOF-MS法を用いて眼球組織での薬剤の局在性と濃度を測定する。採取した血清に対しても、同法を用いて濃度を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に続いて、追試を行うことで現在までに得られた結果の信頼性を強固にする必要がある。さらに、結膜下投与したカンデサルタンの眼内、血液移行性を確認することで、これまでに得られた結果がカンデサルタンの全身作用ではなく局所作用であることを確認する必要があるために、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験動物(ラット)、PCR用試薬、タンパク解析用試薬、質量分析に関わる試薬、物品に対して使用する予定である。
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