糖尿病網膜症は、わが国における成人中途失明の主要な原因である。臨床においては抗血管内皮増殖因子(Vascular endothelial growth factor; VEGF)抗体の硝子体内注射が広く行われているが、心血管リスクや感染など継続性に問題がある。一方、糖尿病網膜症にレニン・アンジオテンシン系が関与することが知られており、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(Angiotensin II receptor blockers :ARBs)の内服にて糖尿病網膜症の進行が抑制されることが臨床試験にて示された。本研究では糖尿病網膜症モデルを用いて、ARBsの眼局所投与による糖尿病網膜症への影響を検討した。ナノ粒子化したARBsの眼局所投与により、網膜におけるVEGFなどの炎症性サイトカインやICAM-1といった接着分子の発現低下を認めた。また、投与眼では白血球の血管への接着も抑制されていた。
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