研究実績の概要 |
緑内障は中枢神経系の障害であり、中枢神経細胞保護・二次変性予防・他細胞への悪影響の回避が中枢神経障害を治療していく上での重大な研究課題である。我々はこれまでに、脳梗塞組織が全身の諸臓器に悪影響を与える可能性があることを示唆した(Ishikawa H, et al. Stroke, 2013)。中枢神経細胞が障害を受けると、隣接した細胞のみならず、全身にもその影響が波及し、他細胞を傷害する。本研究では、培養中枢神経を用いたin vitro脳梗塞モデルを用い、他細胞への障害を誘発する液性因子と思われる物質を同定し、将来的にはその阻害剤を開発することによって緑内障・脳梗塞を始めとした中枢神経系疾患の新しい治療薬を開発することを目的とした。 平成28年度は引き続き培養実験を主に行い、ラット大脳皮質・網膜細胞を用いた組織培養法を継続して行った。さらにin vitro 脳梗塞モデルである Oxygen Glucose Deprivation(OGD) モデルを作製し、平成27年度には解明できなかった培養上清内の液性因子特定を更に行った。しかしながら、昨年度と同様に新規の液性因子の特定は不可能であり、細胞虚血状態における生存反応に呼応するメカニズムは液性因子による可能性は低く、細胞間インタラクティブである可能性が高いと結論づけた。
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