研究課題/領域番号 |
26861477
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
橘 晃弘 独立行政法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, リサーチアソシエイト (80630871)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ダイレクトリプログラム / 細胞転換 / 神経 / 網膜 / シングルセル / 機能解析 |
研究実績の概要 |
本研究目的は、試験管内でのダイレクトリプログラミングによる、マウス繊維芽細胞からの網膜神経節細胞様の次世代分化誘導法の確立を目指して研究を行っており、昨年度においては、リプログラミングファクターを決定するために、synapsin1 promoter-RFPレンチウイルスをマウス維芽細胞(MEF)に感染させ、神経へ細胞転換した時に赤色に光る細胞を樹立した。さらに、遺伝子発現のON/OFFを調節できるテトラサイクリンシステムを取り入れ、その為の、CMV-M2rTTAレンチウイルスを上記の細胞に感染させ、スクリーニング用細胞を樹立した。さらに、樹立した細胞に網膜神経節細胞の発生と分化に関わっている、転写因子の3遺伝子をレンチウイルスにより細胞へ遺伝子導入し、ドキシサイクリン含有の神経細胞用培地で培養を行ったところ、わずかなRFP陽性細胞が確認された。さらに、4つ目の遺伝子候補を探索した結果、ある1つの遺伝子を足した時に、数多くのRFP陽性細胞が観察され、形態学的にも神経細胞様の形態を表し、さらに免疫染色により、神経細胞マーカーである、Tuj1の確認だけでなく、成熟神経細胞マーカーである、Map2,NeuN,NFLの染色が確認された。これらで得られた細胞をさらに調査したところ、電気生理学的手法を用いた機能解析では、Naチャネル、Caチャネル、KチャネルがいくつかのRFP陽性細胞で観察され、神経活動を表すアクションポテンシャルも観察された。さらに、Caイメージングにおいては、KCL刺激により、Caの隆起が観察された。ただ、生体内の網膜神経節細胞においても、様々な細胞の種類が存在するため、単一細胞レベルでの遺伝子発現のパターンを今年度において調査を行うものとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試験管内スクリーニングシステムにより、マウス線維芽細胞を網膜神経節細胞様に転換するためのリプログラミングファクターの組み合わせを候補遺伝子群から決定する事ができた。 得られたファクターをウイルスと、テトラサイクリンシステムを用いいて、線維芽細胞として維持、保存できるように、細胞を樹立した。 樹立した細胞をドキシサイクリング存在下の培養液で培養することで、再現よく網膜神経節様細胞を作成することができ、現在これらの細胞の機能解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
①シングルセルレベルでの遺伝子発現解析 ②電気生理学的手法を用いた機能解析 ③成熟マウス繊維芽細胞からの、網膜神経節細胞への細胞転換
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次年度使用額が生じた理由 |
シングルセル解析技術の構築に時間を要したため、それに伴うシングルセル解析用の試薬の購入を延期したため。
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次年度使用額の使用計画 |
シングルセル遺伝子解析のための物品購入
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