析対象患者は組み入れ基準を満たし3年間の経過観察を終了した日本人の正常眼圧緑内障(NTG)患者90名90眼である。 (1)緑内障進行の予後因子の検討:Cox比例ハザード回帰分析、目的変数として、性別、年齢、屈折、角膜厚、拡張期眼潅流圧、ベースライン視野(MDの場合とPSDの場合)、乳頭出血の既往、平均眼圧、眼圧変動(眼圧の標準偏差)、垂直cup/disc比、傍乳頭網脈絡膜萎縮(PPA-β)/Disc比、篩状板圧格差、とした。緑内障の進行は、視野悪化、かつまたは視神経乳頭の悪化とした。結果、初期から中期の視野障害(平均MD-2.9dB)を有し、平均眼圧12.3mmHgのNTG患者、3年間の経過観察で、緑内障進行の予後因子として長期の眼圧変動が挙げられた。 (2)生活習慣と緑内障進行の関係:生活習慣として、運動の有無、喫煙の有無、仕事の有無、野菜摂取の有無、緑内障家族歴の有無、睡眠時無呼吸の有無、を挙げた。全体の88%(79例)から回答を得た。緑内障進行群と非進行群で比較したところ、有意な項目は認められなかった。 (3)視野に影響する眼局所と全身因子の探索的検討:検討因子として、年齢、屈折、角膜厚、BMI、拡張期眼潅流圧、ベースライン視野(MDの場合とPSDの場合)、乳頭出血の既往、平均眼圧、眼圧変動、垂直cup/disc比、PPA-β/Disc比、とした。線形混合モデルを用いた解析を行った結果、視野進行に影響があると考えられた因子として、スタート時の視野障害の程度(重い)、角膜厚(薄い)、長期の眼圧変動(大きい)、が挙げられた。
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