研究課題
術後経過中に保存された血漿検体、骨髄を用いたデジタルPCR にて、遺伝子増幅や変異、キメラ遺伝子の検索について検討し、治療効果判定あるいは再発マーカーとしての有用性を検討した。1. MYCN 遺伝子増幅: MYCN 増幅神経芽腫23症例の術後の血漿と骨髄検体中の遊離DNA を用いて、デジタルPCR 法によるMYCN 増幅検出を行うと、原発巣が摘出後14日には転移巣が残存している6例を除き増幅が検出されなかった。2. 遺伝子異常検索: ALK 変異のある神経芽腫2例、β―カテニン変異のある肝芽腫3例の術後の血漿DNA を用いた検出は変異ごとに個別にプローブ設計が必要であったが、診断時に検出された変異が術後5日以降は検出されなかった。3. 小円形細胞腫瘍のキメラ遺伝子検索: 腫瘍及び血液由来DNA を用いて次世代シークエンサーにて、12種のキメラ遺伝子のライブラリーを作成し、ユーイング肉腫1例、横紋筋肉腫2例の術後検体用いて検証したところ、診断時に検出されたキメラ遺伝子はいずれも検出されなかった。4. microRNA 検索: 腫瘍特異性が示唆されているmicroRNA について、血液中のエクソソームを濃縮し、これらから、次世代シークエンサーおよびデジタルPCRを用いてmicroRNA 発現量を4例で検討を行ったところ、前者では診断時からの検出はできず、後者のみで検出され、術後は検出不能となった。上記の結果から、小児がんとくにMYCN 増幅神経芽腫、ALK 変異神経芽腫、βカテニン異常肝芽腫、胞巣型横紋筋肉腫、ユーイング肉腫などの血清DNA 診断、さらに特異的microRNAを用いた小児がんのデジタルPCR 法による非侵襲的診断法は有用と考えられ、さらに、治療中や治療後の骨髄や体液中のMRD 判定法、治療効果判定法、再発の早期診断法への有効性が示唆された。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件)
Journal of Pediatric Surgery
巻: 50 ページ: 2094-2097
10.1016/j.jpedsurg.2015.08.033.
巻: 50 ページ: 2098-2101
10.1016/j.jpedsurg.2015.08.035.