初年度の臨床的検討において、肝芽腫外科切除症例において、免疫組織染色を行いCEACAM1longおよびshortの発現が予後良好因子であることが示唆された。 また、基礎的検討において、肝芽腫細胞株であるHepG2およびHuh-6 cloneのCECAM1発現をRT-PCR法にて確認した。HepG2がCEACAM1-4Sと4Lの両方を発現し、Huh-6 cloneは両方とも発現しないことが判明した。HepG2において、リポフェクション法でCECAM1-4Sと4Lを強制的に抑制した株を作成した。また、Huh-6 cloneにおいてAll-trans retinoic acid(ATRA)によって、CECAM1-4Sと4Lの発現が誘導されることを確認した。 引き続き初年度の研究成果を参考にしながら、本年度は、HepG2細胞において、CDDPに対して、CECAM1-4Sと4Lの発現を抑制した株の感受性が低下していることをcell count法にて確認した。また、Huh-6 cloneにおいて、ATRAによってCECAM1-4Sと4Lの発現を誘導した細胞株において、CDDPに対する感受性が高くなることを、MTTアッセイ法にて確認した。現在、Huh-6 cloneに対して、リポフェクション法を用いて、CECAM1-4Sと4Lを強制発現する株の作成を行い、発現の変化によって細胞の浸潤能や抗癌剤に対する感受性が変化するかなどを検討する予定である。
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