研究課題
過去の羊胎仔を用いた動物実験から、尿路閉塞モデルのシャント後一定の圧を膀胱にかけることで膀胱容量を維持できた。近年成人では収縮した筋肉にボツリヌス毒素を用いた治療が各分野で応用され、形成外科分野では難治性の過活動性膀胱などに応用されている。今まで挑戦的萌芽研究2012-2014に胎生80日でシャント手術を行い、膀胱にボトックス注入をおこない安全な投与量を決定する事ができた。若手B研究2014-2016をもちいた実験ではボツリヌスを膀胱壁に注入することで膀胱の萎縮を抑え、膀胱容量を確保する事が可能か検討した。対象と方法:羊胎仔26匹に対して胎生80日に膀胱羊水腔シャントを挿入した。12匹に対して、胎生100日に羊胎仔の膀胱壁4カ所にボトックスを注入し(10単位/㎏)、妊娠を継続させた(A群)。14匹はボトックスの注入は行わず、対照群とした(B群)。正常な満期妊娠羊をC群10匹として、妊娠満期(約145日)に帝王切開で胎児を娩出し犠牲死させ膀胱容量測定、病理組織学的評価を行い比較した。結果:A群は12匹中9匹が生存し、B群は14匹中11匹が生存した。膀胱容量(ml)はA群 8.63 ± 6.08 vs B群 1.81 ± 1.24で有意差を認めた(P < 0.01)。しかし、C群の正常胎仔膀胱容量は57.17± 12.16で約1/8であった。病理組織学的には両群ともに粘膜下層の肥厚および著明な繊維化を認めたが、筋層や粘膜上皮は正常であり差は認めなかった。結語:病理学的には変化を認めなかったが、体重と膀胱容量に差を認めた。正常膀胱容量と比較すると膀胱容量を十分に得るだけの効果は認めなかった。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)
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