研究実績の概要 |
エピジェネティクス調節はDNA配列変化を伴わない、遺伝子発現制御機構である。幹細胞がより高分化する際には、エピジェネティクス調節により発言できない遺伝子領域が増え、分化した成熟細胞へと変化する。脂肪組織由来幹細胞は骨芽細胞分化能を持つことがわかっている。ヒト腹部脂肪細胞より培養した、脂肪幹細胞(以下SVF)および天井培養由来脂肪幹細胞(以下ccdPAs)についての研究を行った。in vitroにおいて、骨分化誘導においてccdPAsのほうがSVFに比べ、アリザリン染色・ALP染色およびRNA解析にて、骨分化しやすいことがわかった。そのため、骨分化過程において、ccdPAsのほうがより高分化細胞であることが示唆された。加えて以前から我々が報告してきた通り、ccdPAsは脂肪細胞への分化もよりしやすいことがわかっているため、今後間葉系幹細胞研究の礎になる可能性がある。以上のことは、平成26年10月日本形成外科学会基礎学術集会にて報告済みである。平成27年、SVFおよびccdPAsにおいてエピジェネティクス解析を行った。CpGアイランドにおけるメチル化配列において、RUNX2,OPN,COL1,DLX5においては優位差を認めなかったが、ATF4およびBNP2において優位差を認めた。これに対し、ccdPAsではRUNX2発現やOPN分泌が高値であった。このことから、ATF4の影響下の結果、RUNX2の発現やOPN分泌が促進すると考えられた。以上のことは、平成27年10月日本形成外科学会基礎学術集会にて報告済みである。
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