研究実績の概要 |
特発性リンパ浮腫の病態解明について、われわれが以前より行っているICGリンパ管造影法、リンパシンチ、MRTDの技術を、全身へ応用した。東京大学医学部附属病院のみならず、神奈川、大阪などの病院より診療についての相談を受け、出張検査なども行った。これにより、原因解明の難しかった乳糜腹水、乳糜胸水の病態を推測し、治療方針決定に寄与した。特に、新生児の特発性リンパ性胸腹水については、全身的なリンパ管低形成を併発していることがあり、治療法選択に難渋することがあるが、今回の研究から、ICGリンパ管造影法の所見とLVA効果に一定の関連があることが示唆されており、ICG検査において良好なリンパ管像を呈した症例にLVAの適応があると考えられた。 特発性リンパ浮腫の治療法について、これまでわれわれはリンパ浮腫についてLVAを行ってきているが、特発性リンパ浮腫に対するLVAの有効性はほとんど報告されていなかった。今回の研究において、東京大学医学部附属病院でLVAを行った特発性下肢リンパ浮腫患者について後方視的調査を行い、LVA効果とリンパ浮腫の発症年齢に一定の関連があることを発見した。また、ICG検査所見とも関連があった。このことについて、英語論文として発表した(Hara H, et al. Plast Reconstr Surg, 2015)。 以上の実績について、国内、国外での学会発表を行い、研究者達との意見交換を行った。
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