研究課題/領域番号 |
26861494
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
成島 三長 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80431873)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | イカ / 巨大軸索 / 神経 / 再生 |
研究実績の概要 |
生きたヤリイカ・スルメイカ・ケンサキイカ等を用いて、活イカの水温調節可能な専用水槽内にて低温状態で鎮静し、神経ブロックによる半身麻酔を行った後、巨大軸索直視下に剥離同定し、マイクロクリップにて直接圧迫を行った。圧迫後5分ほどで圧迫部位周囲に白色沈殿物が出現するが、圧迫解除により徐々に消失した。また電気生理学的検討にて、5分間のクランプでは、直後は神経刺激によって筋電図波形は得られないが、30分後には回復が認められた。しかし伝導速度に関してはクランプ前より低下が認められた。 また蛍光マーカーを用いて軸索輸送の観察を二光子顕微鏡を用いることで巨大軸索全周の観察が可能であることが明らかとなった。蛍光色素として、HMRGおよびMitotrackerを用いた。軸索輸送観察においてガラス管刺入による色素注入を行っていたが、この注入による神経損傷のリスクを軽減する目的で細胞融合法による色素注入法を用いたところ、充分な蛍光色素染色が可能であると事が明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経軸索圧迫や巨大軸索瘻孔形成後の変化を観察するにあたり、in vivo 巨大軸索観察法を確立し、軸索内輸送の観察は可能となった。軸索への蛍光色素注入による損傷が影響を与える危険性があったため、神経軸索への刺入なしに軸索内染色を行う方法を検討するのに時間を要した。結果的には細胞融合法による染色が可能であることが明らかとなりこれを用いて軸索内輸送のコントロールを計測中である。またin vivoでの軸索内観察時にイカの呼吸性変動による観察部位の移動があるため、これを改善する必要が今後ある。 これに伴い、瘻孔形成後の軸索内輸送観察やクランプ後の軸索内輸送観察については、現在検討中である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、平成26年度の基礎実験結果を踏まえたうえで、クランプによる巨大軸索神経軸索損傷変化およびクランプ解除による再疎通後の神経再結合を模した機能回復過程の形態学的・電気生理学的観察および切断後の軸索変化と軸索再接合法の確立に向けて予備実験を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
神経軸索圧迫や巨大軸索瘻孔形成後の変化を観察するにあたり、invivo巨大軸索観察法を確立し、軸索内輸送の観察は可能となった。軸索への蛍光色素注入による損傷が影響を与える危険性があった。そこで神経軸索への刺入なしに軸索内染色を行う方法を検討するのに時間を要し、クランプ後の観察を行う実験に遅れが生じたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
細胞融合法による染色が可能であることが明らかとなりこれを用いて軸索内輸送のコントロールを計測中である。またin vivoでの軸索内観察時にイカの呼吸性変動による観察部位の移動があるため、これを改善する方法について実験を行う。 これに伴い、昨年度に一部行う予定であった、瘻孔形成後の軸索内輸送観察やクランプ後の軸索内輸送観察について本年度に行う。
|