研究課題/領域番号 |
26861495
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
王 巍 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (60451944)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小口径人工血管 / 脱細胞 |
研究実績の概要 |
目的:心筋梗塞(冠状動脈梗塞)あるいは他の小動脈梗塞症の治療に必要な高機能人工移植材を開発することを目的とする。同種および異種動物由来の小口径血管組織を素材として、種々の脱細胞化処理とヘパリン浸透による抗凝固処理を行って血管グラフトを試作し、実験動物の血管欠損部位に移植してその機能を評価する。これにより自家血管移植に匹敵する術後開存性を持つ血管グラフトの開発を目指す。 方法:1. 血管組織片の脱細胞処理の最適化を目指し、超音波処理の併用と全身潅流の有効性を検討する。2. 走査電子顕微鏡(SEM)と免疫蛍光染色法を用いて、脱細胞化血管組織片の構造を特定する。3.凍結乾燥とヘパリン浸透処理の抗凝固効果を検討する。4.脱細胞化処理を施した同種と異種の小口径血管移植片をラットの大腿動脈に移植し、自家血管移植を対照として、小口径血管グラフトの有効性を定量的に評価する。 成果:SDS洗剤脱細胞法が血管全層の細胞を溶解除去できることを免染で確認した。SEMで滑らかな内膜基底膜構造を確認し、高密度の穿通孔も観察された。しかし、内膜と中膜の間に核残骸の沈着も確認された。術後4週でラット大腿動脈に移植されたサンプルが全例栓塞した。脱細胞法のさらなる効率向上が望ましい、内膜抗凝固措置が不可欠だと示された。 超音波処理による脱細胞効率の改善を確認した。全身潅流は腹腔内臓器には有効だが、下肢の動脈には無効だった。ラットの大腿動脈に移植されたサンプルが術後4週で栓塞した、MPC塗布群は血管自身が吸収された。血管或いは他の臓器脱細胞処理自動化装置をメーカーを共同開発した。 結論:SDSと超音波洗浄の併用が有効な小動脈脱細胞処理法だと確認できた。径0.8~1㎜の血管では脱細胞血管移植の開存は難しい。MPC塗布が組織吸収反応を惹起するため、脱細胞血管に不適切だと考え、他の血管内膜抗凝固処置法が必要だと判断する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小口径脱細胞血管の製作については、予定通りに成功した。超音波処理の有効性を確認できた、小口径血管の脱細胞処理の最適化がほぼ完成した。潅流循環脱細胞自動化装置も開発した、実験効率が非常に向上された。 しかし、移植後開存することが難しく、いろいろ方法で血管内面に抗凝固処理を施した群も開存ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
他の内膜抗凝固措置を引き続き探る、全身抗凝固投薬も試す。
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次年度使用額が生じた理由 |
引き続き研究を実施し、他の脱細胞の内膜抗凝固処理を探る。
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次年度使用額の使用計画 |
脱細胞化神経移植片作製原料(動物)、薬品。実験動物購入、飼育費。手術器具、消耗品。組織標本作製費(固定液、包埋剤、染色キット、蛍光抗体など)。成果発表費用。
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