研究課題/領域番号 |
26861502
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松本 久美子 岡山大学, 大学病院, 医員 (20616049)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リンパ浮腫 / リンパ管造影検査 / ICG蛍光造影 |
研究実績の概要 |
H27年度中は前年度の症例60名に加え、中間解析の結果必要と判断した追加症例もあわせて40名に対しICGリンパ管造影検査を行った。2年間で検討できる結果が得られた144肢に対し解析を行った。内訳は下肢126肢、上肢18肢、病期別内訳は0期33肢、Ⅰ期37肢、Ⅱa期47肢、Ⅱb期15肢、その他の浮腫12肢であった。解析結果は以下のとおりであった。 ①鼡径部または腋窩部にICGが到達する率に関して:運動負荷計20分で86%、25分で89%、30分で92%であった。運動30分後にも鼡径部または腋窩部に到達しなかったのは0期、Ⅱa期、Ⅱb期の9肢であった。②リンパ浮腫に特徴的な皮下への漏れ(Dermal Backflow:以下DB)または側副路(Collateral Pathway:以下CP)の出現時間に関して:運動15分後に出現率はほぼプラトーに達した。③各病期でのDB、CPの出現率に関して:0期ではDB出現は0%、CP出現は35%にみられた。Ⅰ期ではDB50%、CP56%であり、DB、CPともに陰性のものが15%であった。Ⅱa期ではDB100%、CP14%、また、Ⅱb期ではDB100%、CP0%であった。 本結果により、診断に必要な最低運動負荷時間は15分であることがわかった。これに従い、検査プロトコールは注射直後と運動負荷15分後の観察を行うことと決定した。 また、現在頻用されており、本研究においても病期分類に用いた国際リンパ学会の病期分類は、主観的要素が強く、あいまいな分類法であったが、本結果により、ICGリンパ管造影検査の客観的結果による分類を作成することができた。 現在まで、各施設、検査者ごとに個々の方法で検査を行い、検査時間が長くかかることも多かった検査であるが、本プロトコールを用いた同一の方法で病期診断を行うことができ、経時変化も鋭敏に捉えることが可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H27年度中に予定検査はすべて終了し、解析も予定通り終了しているが、研究者の他の業務の多忙により学会発表、論文執筆準備が整っていない状態である。次年度に研究内容を発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度に研究内容をまとめ、論文投稿、学会発表を行う予定である。 また、今後本研究で得られた検査プロトコールと病期分類を用いて診断し、これらの適正を判断し、変更点があれば適宜修正する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度中に予定検査はすべて終了し、解析も予定通り終了しているが、研究者の他の業務の多忙によりH27年度内に学会発表、論文執筆、投稿を行うことができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に研究内容を発表予定であるため、論文投稿代、学会出席費用として使用予定である。
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