静脈奇形病変に対する新規治療法として、「全身毒性のない加温された生食水を静脈奇形病変内に注入し、熱作用によって病変の血管内皮細胞を破壊する新規治療」の最適化および基礎的な検討を行った。In vivoにおいて1wellあたり100μLの培地に線維芽細胞、内皮細胞を4000個/wellの割合でそれぞれ96ウェルプレートに播種し、40度から10度ずつ段階的に温度を上昇させ100度まで加温させた生理食塩水を各96ウェルプレートに注入し10秒作用させたのち生理食塩水を回収した。その後MTTアッセイを用いて、細胞障害性の検討をおこなった。繊維芽細胞、内皮細胞の最高致死温度はともに50℃以上であることが確認された。線維芽細胞および内皮細胞の最低致死温度およびLT80%T°(80%細胞致死温度)を測定することで、内皮細胞を破壊し皮膚構成細胞の障害を最小とする温度を摸索した。繊維芽細胞、内皮細胞の最低致死温度およびLT80%T°は40℃から50℃の範囲であることは確認された。しかし、96ウェルプレートは小さく熱拡散が早いため、実験結果に誤差が生じ再現性を得るためには、微細な温度調整が必要であった。さらに、In Vivoにおいて、過去に我々が考案した家兎耳介を用いた静脈奇形モデルを用いて各温度における皮膚障害および血管の組織変化に関しての検討を行った。しかし、静脈奇形モデルが小さいため、加温生理食塩水注入直後の組織内温度の計測が困難であり、温度計測の最適化が必要であった。
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